2019/06/26
難発の吃音への理解が一切無い現状。難発の吃音者が生きやすくなるためにはどうすればいいのか?
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こんにちは、月也です。
以前の記事で、
「吃音への理解が広まってきている」
ということを話しました。
実際、吃音(きつおん)という言葉を知っている人が
最近本当に増えてきてるんですよね。
多くは「ラヴソング(ドラマ)を見て知りました」とか、
そういう人がやっぱり多いです。
この前も初めて会った人に吃音について話したんですが、
「あ、あのドラマの題材になったやつですよね」
という風に言われたりしたので。
僕の感覚的には、
「3人に1人くらい」
の割合で言葉を知っている人がいるかなという感じですね。
確かに、吃音という言葉を知る人は増えてきているんですが、
一方で
吃音とはどんな症状なのか
ということに関しては正直な話”全く理解が進んでいない”のが
実際のところなんですよね。
「あー、あれですよね。言葉を繰り返しちゃやつ!」
こんな認識しかされていないんです。
周りから見てもわかる症状である、
・連発
・伸発
の症状についてしか知られていません。
吃音の中で最も辛い症状である、
「難発」については一切理解されていないんですよね。
言うなれば”難発こそが吃音”と言えるわけですけど、
そこの理解が進んでいかないといつまで経っても
吃音者にとって生き辛い社会のままになってしまうんです。
今回の記事では、
「なぜ、難発の吃音への理解が一向に広まらないのか?」
「難発がありつつも普通に生活していくにはどうすればいいのか?」
ということについて触れていきたいと思います。
連発や伸発はそこまで辛い症状ではないんです。
声自体は出せるわけなので。
難発にこそ、吃音の苦痛、絶望感が詰まっていると言えます。
そこが解消されて行かない限りは、
吃音者が生きやすい世の中にはなっていかないと僕は考えています。
難発が世間に一向に知られない2つの大きな理由
吃音という言葉を知っていて、かつ難発という症状を知っている人に、
僕は吃音者当人を除いて、
「誰一人会ったことがありません」
僕が吃音について話した時にいつも言われるセリフといえばこうです。
「いや、でも全然どもってないじゃないですか!」
「言われないと吃音者なんてわからないですね!」
彼らには
連発=どもり
という図式しか存在していないので、
それ以外を吃音として認識できないんです。
その認識のあまりのズレに、僕はこれまで苦しめられてきました。
難発の世間からの理解の無いことによる絶望感、
生き辛さに理解を示してくれる人はいなかったから。
世間から吃音は甘く見られていることが正直多いんです。
「ただ、言葉を繰り返しちゃうだけでしょ?」と。
なんでそんなことになってしまっているかというと、
大きく2つ理由があります。
・難発は外部からは症状を認識できない症状である
・吃音者が自分の難発の吃音を恥と考え、隠そうとする
この2つの理由から、一向に難発の吃音への理解が広まっていく様子が見られない。
皆が隠せば、難発への理解は広がることが無い
とにかく、みんな隠すんですよね。
僕もそうだったの気持ちは痛いほどわかるんですが、
とにかく吃音を持っていると知られたくないから
どもらないように人と接するようになってしまう。
というか、話すこと自体から逃げようとしてしまう。
そして仮にどもったとしても、
周りから見たらそれが見えにくいんです。
難発のあの特有の「嫌な感じ」であったり、
喉やみぞおち当たりが締め付けられる感覚は
周りからは絶対に分かることが無い。
言葉が出ないことによる焦りや恐怖心も、
やっぱり分かってもらえることはありません。
「なんでこの人はいつも無口なんだろう・・・?」
「この人は話し出すときに間が多いなあ」
されるとしてもこんな認識だけ。
当人たちが隠している以上、
難発の吃音が世間に認知されることは絶対にありえません。
発言力のある有名人が言及しない
芸能人には、吃音を抱えていた人が多くいます。
これはこれらの記事でも触れていることなんですが、
有名なあの人が実は以前に吃音を抱えていた、
というケースは結構あるんですよね。
本人は特に言及していなくても、
明らかにテレビなどでどもっている人も中にはいます。
「滑舌が悪い」
「よく噛む」
という風に番組内などでは捉えられていても、
明らかに吃音があるなと感じられる芸能人はいますね。
そんな風に、発言力のある吃音者って意外と多いんです。
でも彼らはそこで吃音について「外に訴えかける」
ということはあまりしていないんですよね。
“吃音者に対して”援助などをしている人はいても、
“世間に対して“吃音のことを訴えかけている人は現状いません。
このブログでもご紹介している、
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を描いた
「押見修造さん」のように何かの作品を通して
吃音を描いている人はいるんですけどね。
⇒ 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を20年来の吃音者がリアルに批評してみる
吃音、特に難発の症状はこれまで話した通り
「当人たちが訴えかけないと絶対に理解が広まることってないんです」
外から絶対に見えない症状だから、
実際に難発に苦しめられてきた人間が
訴えかけていくことでしか理解が広まることは絶対にない。
難発の吃音を克服している人って実際にいるんですよ。
でも彼らの多くは、
「自分は吃音が直ったから、まあいいや!」
という姿勢の人間ばかりで、
本音を言うとものすごくムカツクんですよね。
知名度がある人間こそそういうことをすべきなのに、
誰もそんなことをやろうともしない。
無性に腹が立ちます。
自分の難発の吃音をまずは身近な人に打ち明けてみるのが大切
今後の課題は、
「難発の症状をまずは世間に知ってもらう」
ということなんじゃないかなと個人的に強く感じています。
アスペルガー症候群などの発達障害も
少しずつ認知が広がってきている素地があるので、
吃音もそうなれる可能性は十分あると思うんですよね。
世間にそういう症状があると知ってもらえれば、
難発があっても生きやすい世の中に絶対になっていくから。
「難発があっても普通に生活できるようになる」
ということに繋がっていきます。
もちろん吃音を克服するための努力をすることも大切ですが、
そういった視点を持つことも必要ですね。
吃音者当人たちで傷のなめ合いをするのではなくて、
外に目を向けることも絶対に必要です。
わかってもらえれば、難発に対する恐怖心が薄れる
現在は吃音を描いた作品、
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
『ラヴソング』
『英国王のスピーチ』
といった作品も出てきていますが、
吃音を知ってもらうキッカケにはなっていても、
「吃音という症状は具体的にどういう症状なのか?」
「どんな風に吃音者は普段から疎外感を感じているのか?」
「学校や職場でどのような心理的苦痛、苦労を感じているのか?」
と言った部分にまでは言及できていないと感じています。
そこはやっぱり当人たちが、
少しずつでも訴えていく必要があると思うんですよね。
「吃音、難発についての理解がある」という前提が世間にあることで、
もう比べ物にならないほど難発持ちが生きやすくなります。
「分かってもらえない」
「変な目で見られる」
「自分だけが普通に話せないことに強い抵抗がある」
と言った恐怖があるから、
吃音者が辛い思いをしている面は大きいので。
そこがクリアになれば、だいぶ変わるのかなと感じますね。
みんなが本当に少しずつでも良いです。
「周囲の人に自分の吃音についての理解を求めていく」
ことをしていくことで、少しずつ認知も広がっていくはずです。
同僚とか、家族、同級生などですよね。
吃音の症状自体はすぐに解決できるようなものではなくて、
時間をかけて少しずつ緩和させていくものなので、
まずは理解してもらうことで精神的にも楽になりますからね。
僕もそういったことを今後はしていきたいと考えています。
「吃音への理解を広める」
それは、多少なりとも人が集まる媒体を持っている人間としての
役目なんじゃないかなっておこがましいかもしれませんが感じているので。
それでは、ありがとうございました!
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